U様邸
建前を迎えるまでの準備状況を紹介してきました。
今日はいよいよ建前の状況です。
朝礼を行います。
お施主様から一言いただき、
注意点や手順の確認をしてはじまります。
前日に柱をたててあり、
梁をそれぞれ使う場所に配ってあるので、
スタートと同時に組み始めます。
クレーンの運転としては、木造建築の建前以上に、
はやい動作を求められることはあるのでしょうか。
私が前の会社で経験した中ではありません。
木造建築に慣れていないオペレーターは大変だと思います。
ある腕のいいオペレーターにはいつも感心します。
要求通りの動きをしてくれてスピード感も完璧。
あんなに長いワイヤーの先のものを操る仕事に感心します。
とは言っても、やはり安全第一。
大工との呼吸が必要不可欠です。
その手伝いに来てもらう大工さん同士の相性も考えます。
それぞれ得意とする作業があるので、
「あの人なら、これをやってくれるだろう」と人選します。
野球に例えると、ピッチャーばっかりきてもらっても、
キャッチャーやバッターがいないとなると、試合になりません。
それぞれがバランスを判断して、
自然と配置につけることが必要で、
個々の判断能力が大切だと思っています。
2Fの床は細かく下地を入れてあります。
釘の打ち方や、ボルトの入れ方も、
朝礼で説明してあるのでその通りやってくれます。
(途中で指示される時もありますが、それだと困惑してしまいます。
何を聞かれるかを考え、あらかじめ方向性を決めておくことも段取りです。)
手刻みは、実際に組み上げていく状況を想像できないといけません。
組みやすさや、継ぎ手の選定、そのかたさ。1㎜の違いで大きく変わります。
細かいことの積み重ねが良い家造りには必要です。
ビスを打つための下穴ひとつをとっても、
考えなしにやると、作業効率がさがります。
こういったことは、実際に建前を多く経験し、
さまざまな作業をして自分で体験しないとわかりません。
この日は、雨でスタートがかなり遅れましたが、
垂木までできたので良かったです。
終わってみれば、よくある建築現場の様子ですが、
内容は別物だと思っています。
全く同じプランで、手刻みの家とプレカットの家をならべて、
同時に揺らしてみればその差は明らかだと思います。
しかし、そんなことはできないので、伝えることが難しい。
「鉄骨造」はボルトを締めるトルクや順番、
溶接の要領が決まっています。
鉄筋コンクリート造は、密実なコンクリートを打つことを目指す以外ありません。
しかし
「木造」は、一本一本性質が違います。
その大工の判断によって変わります。
バチバチにきかせるのが良いと考える人や、
ある程度揺れるようにクリアランスを設けると言う人。
最終的に現場をおさめる者として、
何が良いのかをつきつめ、
お客様に伝えていきたいです。
最後は雨もやみ、餅まきができました。
親族の方も集まり、皆でお祝いです。
ハウスメーカーの場合は、
ここからが大工の仕事です。
しかし、手刻みで建てる家は、
この日を迎えるまでにいろいろな準備をしてくるんです。
なんとなく、違いが分かっていただけたら幸いです。
無事上棟できたので、
ここからは気合を入れ直して、造作のはじまりです。
作業場から現場作業へと移っていきます。
U様引き続き、よろしくお願い致します。
本日も読んでいただきありがとうございます。
根っからの職人46年の父と、ゼネコンでの監督経験のある息子、
共に国家資格「建築
大工一級技能士」
です。
私たちは、設計(建築士)から現場の管理(施工管理技士)、
そして大工(技能士)をこなしつつ、
現場主義で日々の作業や思いをこのブログで発信しています。
住宅の新築、増築、リフォームはもちろん、
神社や店舗などの施工実績もあります。
木造建築のことでお困りでしたら、ぜひご相談下さい。
メール:ogurikenchiku@outlook.jp